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2021.05.09更新

こんにちは、阿南歯科院で勤務しています歯科医の鈴木です。
今回のブログは、私が4月に歯内治療の名医である寺内先生のセミナーを受講してきたセミナー内容の中で、歯の神経を守る保存療法(歯髄温存療法)についてお話をさせて頂きたいと思います。

皆さんは歯の神経はどんな働きがあるかご存じですか?歯科医院に受診されている患者さんの中には神経の働きを知らない方もおりますので、歯科治療を受ける皆さんには是非知って頂きただけたら幸いです。

歯の神経の役目には歯に栄養分を与え歯の強度を保ったり、歯の痛み(冷たい物・暖かい物の感覚や噛んだ時の感覚)を即座に知らせるためのセンサーの役割を担っています。
虫歯が神経まで進行し、神経の温存が可能かもしれないのにも関わらず、神経の治療を行っている歯科医院も多いのが現状です・・。しかし、簡単に神経の処置をしては歯の寿命を短くしているだけに過ぎません。

2007年の海外研究で歯の神経を温存した歯と神経処置を行った歯の寿命の差を比較したところ、歯の神経を温存した歯のほうが長期的な予後が良いことが分かっています。

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虫歯の放置により神経の炎症が生じたとしても神経内にある炎症物質を取り除き正常な神経の生活反応が確認できれば、神経処置をせずに温存することが可能です。
正常な神経とは神経の形態が崩れておらず、神経中に含まれている血管内の出血があり、その出血が止血できるかどうかで見極めます。

細菌の感染によって炎症が生じている神経は形態が崩れており出血が止まりません。しかし炎症を生じている神経を取り除くと、正常な神経の形態を確認でき、さらに神経からの出血が止まることで温存することが可能です。
神経温存療法に使用する薬剤は、MTAという高アルカリ性・抗菌作用・抗炎症作用・硬組織形成作用・歯髄再生作用がある薬剤を使用し、正常な血管と触れることで効果を発揮します。

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MTAは高い成功率を持っていますが、すべての神経症状に使用できるのではなく術前の診査を行い、MTAが使用できるか歯髄が温存ができるか判断をする必要があります。
神経の状況によってMTAが使用できない場合は神経治療が必要になってきます。
使用する際は薬剤が唾液で汚染されたり、虫歯の取り残しや神経からの出血の状況をしっかりと確認しないと成功率が下がります。

当院では様々な歯科治療をしていますが、中でも神経を保存することにも力をいれています。MTAを使用した温存療法の成功率を高めるために、汚染させないためにラバーダムというゴムマスクの使用、虫歯の取り残しがないか検知液を使用したり、マイクロスコープをしようし神経の出血の状況を確認しています。

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MTA使用後は、1~3週間経過観察を行い痛みの有無を確認します。経過観察で良好であれば、唾液やプラークなどの外部からの汚染を防ぐために被せ物を行い終了となります。
しかし被せ物においても、保険治療内の被せ物(金属)だと丁寧に治療したとしても被せ物の材料の制限や欠点(熱で収縮して隙間ができたり、汚れが付きやすい)でMTAを行った歯に対して、薬剤が唾液に汚染されたり再度虫歯なりMTAを使用した意味がありません。できれば材料に制限がない自費診療での被せ物をお勧めします。

MTAは自由診療ですが、保険治療とは違い自由診療は使用する薬剤の制限がなくなるため、患者さんの歯科治療にとってベストな治療ができるという大きな利点があります。

今後の生活において神経処置をせず、健康な神経を温存できることは素晴らしい治療法であり、今回のセミナーを通じて神経を守る、神経を取らない治療の良さをブログを読んでいただいた皆さんに知って感じて頂ければ幸いです。

もし虫歯が大きく、神経を取る可能性があった場合でも神経を抜きたくないと思ったり、他院で神経を取る必要があると言われた場合でも、神経を温存できる可能性が少しでもあれば対応させていただきますのでご相談してください。

藤沢市 六会日大前駅 阿南歯科 歯科医師 鈴木

 

投稿者: 阿南歯科

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