歯の知識
2022.03.31更新
こんにちは。歯科医師の和田です。
突然ですが皆さんは『歯』についてどれぐらい知っていますか?
どんな形をしていて、どんなはえ方をしていて、なぜ虫歯になるのか、歯槽膿漏とは何なのか。
意外とご存じないのではないでしょうか?
今日はその辺りについて図(私の描いた拙いもので恐縮ですが)を交えながら簡単にではありますがご説明させていただければと思います。
では先ず、歯の形を見てみましょう。(図参照)
いかがでしょう?実際はもっと複雑な成り立ちをしていますが、ここではわかりやすくする為、少し簡略化した図を描きました。
これをもとに今から『虫歯』と『歯周病』のご説明に移っていきます。
最初に『虫歯』のお話です。
虫歯は、お口の中に常に存在する菌(口腔内常在菌といいます)のうち、主に「ストレプトコッカス・ミュータンス」という名前の虫歯菌が原因で図の
①エナメル質
②象牙質
を溶かしていく事で起こります。
症状の軽い(浅い)ものは菌に侵されたところをドリルで削って樹脂のような材料(コンポジットレジンといいます)で埋めてしまえば治ることも多いです。
しかしこれが症状の重い(深い)ものになり、歯髄(いわゆる「神経」と呼ばれるやつです)の近くまで菌に侵されてしまうと、その神経を保護するためにお薬(「MTAセメント」といいます)が必要になる場合もあります。
また、菌が完全に神経に到達し浸食されると、もう神経を取り除く処置(抜髄”ばつずい”といいます)をしなくてはならなくなってしまうのです。
では次に『歯周病』のお話です。
歯周病を理解するためには先ず「歯周組織」を知らねばなりません。
歯周組織とは4つの組織の総称です。
③セメント質
④歯肉
⑤歯根膜
⑥歯槽骨
がそれです。
歯周病はこれらの組織がお口の中にいる歯周病菌(特に、グラム陰性桿菌と呼ばれるグループ)によって炎症の状態を起こし、少しずつ壊されていく事なのです。
皆さんはもしかすると冒頭でも触れた”歯槽膿漏”という言葉をテレビのCMなんかで聞いたことがあるかもしれません。
実はこの歯槽膿漏という呼称は正式な歯科医学用語ではなく、いわば俗称です。
しかしこの言葉の指すところは「重度に進行した歯周病」ととらえてよいでしょう。
具体的に言いますと
⑧ポケット(歯周ポケット)
がどんどん深くなり、そこからの出血や、また、歯を支える
⑨歯根膜
が壊死し、断裂を起こし
⑥歯槽骨
が溶け(骨吸収といいます)
④歯肉(=歯茎)
が下がり、中に膿が溜まり、痛みを伴うようになり
最終的には歯がグラグラになり抜けてしまうのです。
ここまで『虫歯』と『歯周病』についてお話ししてきましたが、いかがでしたでしょうか。
どちらも放置しておくと、大変に恐ろしい結末を迎えてしまうことがお分かりいただけたかと思います。
実はこの虫歯と歯周病、とても効果的な対処法があります。
それは普段からの『歯磨き』です。
そんなこと当り前じゃないか、と思われるかもしれません。しかし多くの歯に疾患を抱えた患者様が、正しい歯磨きの方法-ブラシの持ち方、当て方、動かし方や、その他の清掃用具の併用-をご存じではなく、結果お口の中がきれいに保てず来院されているのです。
でもそんな正しい歯磨きの方法なんてよく分からない!と思われる方がほとんどだと思います。そう思われた方はぜひまず当院にいらしてください。
歯やお口の状態が特に悪いわけでもないのに歯医者に行っていいの?と思われるかもしれません。しかし近年、口腔内の予防は歯科業界にに於いて非常に重要視されるファクターであります。
歯科医院でのお口の中の専門的な定期的なケアをするために通ってらっしゃる患者様の数は実はかなり多いのです。
ご自身でのケアと、歯科医院でのケア。この両側面からお口の中の健康を保っていく。これが最も理想的で且つ効率の良い方法なのです。
少しでもお口の中のことで気になることがあれば気軽にご連絡、ご来院ください。
我々ができる限りのケアとご説明をいたします。
藤沢市 六会日大前 阿南歯科医院 歯科医師 和田
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