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2021.12.31更新

こんにちは!歯科衛生士の神谷です。
2021年もあとわずかで、日に日に寒さが増していますが、皆様いかがお過ごしでしょうか。
新型コロナウィルスは欧米で、オミクロン株が猛威を振るっていて、日本も増えてきていますね。
マスクなしの日常に戻るのには、もう少し時間がかかりそうですね。

今回のブログでは、喫煙について書かせて頂きます。
喫煙は「百害あって一利なし」と昔から言われており、皆様ご存知の通りだと思います。
体に良くないとわかっていても、止められないのが人間ですので、基本的には自己責任ですが、
日々患者様の口腔内のメンテナンスを担当させて頂き、またカウンセリングも行わせて頂いている中で、最近特に気になることが多かったので、改めてお伝えさせて頂きます。

まず、喫煙の体への影響です。
喫煙はがん、心疾患、脳血管疾患などの生活習慣病だけでなく、歯周病や慢性閉塞性肺疾患など、さまざまな疾患のリスクファクターとなる事が知られています。
これらの為害作用は煙草の煙に含まれる約40種類の発がん性物質と約200種類の有害物質によるものと考えられています。
その中でも、ニコチン、一酸化炭素、タールは三大有害物質と言われています。

歯周病に対する喫煙の影響は
たばこの煙にさらされる最初の組織は口腔なので、様々な影響を及ぼします。
喫煙者が歯周病に罹患する割合は非喫煙者に比べて2~8倍と言われています。
ニコチンの免疫系に対する影響により、歯周組織抵抗力が低下し、またニコチンの末梢血管収縮作用により血流低下が伴うので歯周病の発症や進行に関わると考えられます。
またニコチンはコラーゲンの産生を抑制し、コラゲナーゼの産生を促進することで、歯周組織破壊を促進し、また、ニコチンの刺激により、歯周組織の創傷治癒を遅らせると考えられています。

かみぶろ

喫煙者の口腔内所見としては
歯肉の黒色化、歯肉の繊維化、歯面への着色、口臭の増悪、味覚の低下、唾液の減少などがあります。
歯肉はニコチンや一酸化炭素の影響により酸素濃度や免疫力が低下しているため、強い局所の炎症は見られず、プロービング時の出血は少なく、発赤も弱いです。
プラークの付着量や辺縁歯肉の炎症については、喫煙者と非喫煙者の差は見られませんが、歯槽骨の吸収度、歯周ポケットの存在部位数については、喫煙者の方が非喫煙者よりも重度と言われています。
また、歯の根と根の間で起こる、根分岐部病変は、喫煙者の72%、非喫煙者の36%にみられます。
その他にも、
喫煙者は非喫煙者に比較して、抗菌治療や、組織再生誘導法、またインプラント治療の予後が悪く、遊離歯肉移植はほとんど失敗し、外科的な歯周治療によるポケットの減少は少なくなります。

またインプラントの治療の失敗率は2倍以上になり、GBRによる1年後の骨造成量は非喫煙者の40%程度にとどまります。
たばこの中の有害物質により、免疫力は衰え、炎症症状が出ないままインプラントを支える歯肉の病状が進行していくため、気づいた時にはインプラントを除去しなくてはならないほど病状が進行してしまうこともあります。
1日10本以上吸われる方は特にリスクが高くなります。

コロナ禍という先の見えないストレスの中での日々ですが、
(ストレスもまた、血管収縮による酸素や栄養の欠乏をもたらし、創傷治癒を遅らせると言われています!)
本数を増やすのではなく、また違った方向にシフトするチャンスかもしれません。

ぶろぐは

藤沢市 六会日大前 阿南歯科 歯科衛生士 神谷

 

投稿者: 阿南歯科

2021.12.15更新

今日は、突然ですが
皆は虫歯ってあるの?歯磨きってどれくらいしているの?
お婆ちゃんは総入れ歯だけど、老人は皆歯がないの?
などなど疑問に思った事はないでしょうか。
そこで今日は、日本人全体の口の中を見て行きたいと思います

用いるのは厚生労働省が5年に1度実施している、歯科疾患実態調査です
2021年12月の時点で最新の物は2018年に調査した物なのでそれを使います


まずは乳歯です

4歳から8歳未満で乳歯に虫歯がある、または治療した子供は40%前後

この数字、もしかしたら多いと感じる方もいるかと思いますが、昔に比べて明らかに下がっています。
特に3歳から8歳までの子供で顕著に下がっており、保護者の方々の意識が変化しているのが見て取れますね。


永久歯を見ていきます
永久歯の調査は幅広い年代に跨りますので年代ごとに見ていきましょう
5歳から9歳未満で永久歯に虫歯がある、または治療した人は10%未満

10パーセント未満なので、とても少ないですが
永久歯の数が少なく、まだ萌出から間もない事が大きな要因かと思います。

これが成人後になりますと
25歳から80歳未満で永久歯に虫歯がある、または治療した人は80%以上
35歳から55歳未満では、永久歯に虫歯がある、または治療した人は100%近く
とても高い数値となっております。
もっとも5歳以上35歳未満で見ると昔より減少傾向にあり、ここでも人々の意識が高まっているのを感じます。
一方で65歳以上は増加傾向にあります。
これは。高齢者の意識が低いという事では決してなく、昔に比べ高齢になっても歯が残っている方が増えた事によります。


次は喪失歯についてです。
これも世代によって大きく幅がありますので分けてみて行きます。
15歳から24歳までの人で歯を1本以上失った人は3%未満
その後世代を追うごとに増えていき
40歳から44歳までの人で、歯を1本以上失った人は41パーセント
55歳から59歳までの人で、歯を一本以上失った人は72%
65歳以上の人で歯を一本以上失った人は87.9%から97.1%
となっています。
歯を失った人の割合も減少傾向です。

ここで高齢者の20本以上自分の歯を有する人の割合を見ます。
自身の歯が少なくとも20本以上残っていれば、ほとんどの食べ物がおいしく食べられるため、高齢者残存歯の1つの基準となっています。
75歳以上85歳未満の人で20本以上自身の歯が残っている割合は51.2%
と言われています
この割合は1993年に行われた調査より大きく改善しており、元気な高齢者が増えている要因かもしれません。
ただ85歳以上に限ってみれば25.7%となり低い状態となっています。

次に歯茎についてです。
まず歯肉に出血があった人の割合です。ここでの歯肉出血は。歯周検査においての出血確認となっています。
年代によりバラつきがあり
歯肉出血は15歳以上のそれぞれの世代で30%を超え、30歳以上55歳未満で40%を超える

4mm以上の歯周ポケットを有する人の割合です。歯周ポケット4mmは歯周病診断の1つの基準となります

4mm以上のポケットを有する人の割合は65歳から69歳までが最も多く60.5%
15歳から24歳で17.6%であり、世代を追う毎に増加し
50歳以上全ての世代で50%を超える

虫歯や喪失歯は年々減少していますが、歯周疾患に関しては、そこまで顕著な現象が見られていません。

では
日頃の歯磨きに関する項目を見ていきます。
ここでは1歳以上の人を対象として算出しています。

デンタルフロスや歯間ブラシを使っている人は、男性の約30%、女性の46%
となっており全ての世代で女性の方が使用率は高くなっています。

歯磨きの回数は
毎日みがく人が95.4%であり、そのうち1日に2回以上みがく人が77.0%で最多
みなさん1日2回が標準となりつつあるようですね。

最後に舌の清掃についてです
舌の清掃を行っている人の割合は、男性で16.6%、女性で22.3%

ご自身と比べてみて如何だったでしょうか。
普段あまり意識しない情報だったかと思います。
昔は、歯なんて年取れば無くなるんだよ、なんて意識もありましたが
日頃からケアする事で虫歯を極力少なく年齢を重ねても自身の歯で物をしっかり食べる事は可能になります。
代えの利かない、ご自身の一部、ぜひ大切にしてあげてください。

ブログ用

今回は、数ある調査の中の幾つかを抜粋しました。より細かい情報も厚生労働省で公開されていますので、興味がありましたら直接見てみてください。

歯科疾患実態調査|厚生労働省 (mhlw.go.jp)

 

藤沢市 六会日大前 阿南歯科 歯科医師 岩本

投稿者: 阿南歯科

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