こんにちは、今日は年齢を重ねるとご飯が食べづらくなる理由を歯科の分野から説明していこうと思います。
物が食べられなくなる理由は、歯が無いからに決まってる
と以前は考えられていました。
だから歯医者も一生懸命良い入れ歯を作り患者さんを治療してきました。
ところが近年、物が食べられない理由は歯が無いだけでなく
食べる機能が低下しているから
と考えられるようになって来ました。
では食べる機能とは何でしょう?
では人が物を食べる時について考えてみます。
全部見ると、物を食べ物と認知する機能や、食道から胃に運ばれる過程もはいりますが、ここでは口に入れて飲み込むまでを考えます。
ぜひご自身の食事時を思い出して、もしくはお菓子をつまみながら見ていきましょう。
口に食事が入ると、歯を使ってかみ砕きます。やっぱり歯も重要ですね
でも噛んでごっくんではありません。
噛んで細かくして唾液でやわらかくして、舌や頬の力を使って飲み込みやすい形(食塊)にまとめて喉に送っているのです。
試しに舌を固定して物を噛むと怖くて呑み込めないと思います。
喉に送られた食塊は、ここで飲み込まれますが、その瞬間も喉の筋肉の収縮や、気道に入らないように口蓋が働いたりと色々な機能が働きます。
そしてこれらは全て無意識で行われます。
改めて食事をじっくり見ると、歯を使って噛むという行為は、物を食べるという行動の一部でしかないことが分かります。
これが、前述した歯が無い事だけが物を食べられない理由では無いことになります。
また、物を食べる過程を見ると舌や頬、顎など色々な筋肉や反射が使われている事がわかります。
高齢者になると筋肉や骨が弱くなり、反射神経が悪くなるのは誰もが知っている事実です。
杖をついて歩く老人を不思議がる人はあまりいません。
歩くための筋肉と反射が落ちるように、物を食べるための筋肉や反射が落ちた結果、物が食べられなくなるのです。
以前、別の歯医者さんが
物が食べづらくなった高齢者に義歯を作って終わりというのは
弱った脚に新しい運動靴を履かせて終わりと同じだ
といった事を仰っていましが、実に分かりやすい例えだと思いました。
そしてこのように食べる機能全体が落ちて。物が食べづらくなる状態を
口腔機能低下症と呼び近年歯科においても重要な概念となってきております。
口腔機能低下症は簡単な検査で見つける事が出来ますし、見つかった場合も日常生活で出来るちょっとしたリハビリで改善していく事が出来ます。
もし、最近物が食べづらくなった、口からよく物がこぼれるといった事が気になるようでしたら、一度検査を受けてみて下さい。
歯科医師 岩本